先生のコトバ
★★★★★
本書は、「ここから裁判」(七尾養護学校の先生方に対して東京都教育委員会がな
した懲戒処分の違法などを争う裁判)の原告であり、実際に七尾養護学校に勤めて
いた先生方の思い・気持ちがつづられたものです。また、七尾養護学校で何が起き
たかについても説明されています。
本書を読めば、なぜ七尾養護学校では障害児に対して性教育を行っていたのかが、
よく分かると思います。そして、その性教育は性に関する知識だけを教えていたの
ではなく、まさに「こころとからだの学習」であったことが理解できると思いま
す。
「こころとからだの学習」とは、簡単に言えば、七尾養護の生徒・児童は、虐待な
どを受けていたために失われた自尊心や生きる希望などを取り戻すための、生きる
意味を確認する学習であったのです。
七尾養護学校に対する東京都の攻撃は前代未聞の出来事で、それは、教育は行政の
命令どおりに行われるべきとの東京都のメッセージだったのです。それが正しいこ
とか・望ましいことか、本書を読んで考える必要があると思います。
なお、七尾養護事件の詳しい事実経過や、背景事情を知りたい方は、本書を合わせ
て、金崎満著『検証 七生養護学校事件―性教育攻撃と教員大量処分の真実』をお
勧めします。