特典映像が目的の方は、よくご検討されたほうがよいかと思います
★★☆☆☆
特典 (52分) のほうを目的に購入しました。同じ NHKレーベルでいえば『月周回衛星「かぐや」が見た 月と地球〜地球の出 そして 地球の入り』で一度がっかりされたことのある方は、ご購入の前に、よくご検討なさったほうがいいかもしれません。
正直、本編 (40分) のほうは NHKスペシャルや教育テレビでも見れば済むような内容です。そもそも、授業用に購入する学校関係者のような方以外は、たいてい知っているような内容ですから、こちらを目的にわざわざお金を出す方もあまりいないでしょう。収録時間も特典のほうが長いわけですから、制作者側にもある程度そのような意識があるのだと思います。「皆既日食の最初から最後まで堪能する」とカタログにあるように、ニュースなどでは長くても十数秒、特集番組でもダイジェストしか見ることのできない、 6分半の神秘的な天文ショーを、余計な編集のないそのままの状態で楽しんでください、というのが趣旨なのではないのでしょうか。
しかし観賞したあとの感情は、前述の『月と地球』と同じでした。硫黄島の映像も、船上の映像もカットだらけです。皆既前後はある程度、仕方がないとしても、「皆既中のみ通常速度で6分半の今世紀最長の皆既をたっぷりご覧下さい」とカタログにあるにもかかわらず、皆既中も平然とカットしています。大容量のブルーレイで収録時間を気にする必要もないでしょう。リハーサルなしの本番一発撮りなので、途中でフィルタ交換があったり、アングルや露出、ズームの調整があって、映像が乱れたとしても多くの方は理解するでしょう。天気に恵まれず、絶好の映像にはならなかったことをNHKのせいにする人もいないでしょう。そうなると、やはり前述の『月と地球』と同様、制作者側の姿勢を疑いたくなってしまいます。
収録は硫黄島 → 船上の順番でしたので、最初、硫黄島のそのような映像を見たときは、曇りだった硫黄島は適度に省略して、船上の長尺の映像を見せてくれるのかな、と好意的に考えていました。しかし、船上の映像も多少長いだけでした。しかも理解しがたいことに、船上の映像の場合、皆既中に限って、映像が揺れます。「多少」のレベルではなく、画面内で皆既中の太陽が動き回ります。皆既前後はしっかりと位置が固定されていましたので、揺れを防止したり、目標を追尾するような機能はあったようです。それが皆既中に限って動作しないのでは、失敗映像としか思えません。そしてそれをカタログやパッケージの裏面で断ることなく、売り物に使用する姿勢を理解するのは困難に思えます。
ふだん、あまりネガティブな評価は書かないのですが、今後、NHKレーベルから良作が出ることを期待する意味で。