理論があり,仮説があり,その検証をするというタイプの本ではなく,
とにかくデータをかき集め,いろいろ統計をやってみた,という本.
先端的な統計手法を駆使し,政治体制の差による経済発展の違いとか,
経済発展の度合いがいかに政治体制に影響するのかとか,
これまで政治学で論じられてきた理論をいろいろ取り扱っている.
何千ものケースを数多くのモデルで分析した労を評すべきだとは思うが,
いかんせん理論が無いため,著者の主張がまず不明確に過ぎる.
また,やはり何千ものケースの一般的な傾向を示すには良いが,
政治体制というものは0か1かの二分法で語られるものでもないだろう.
たとえば民主主義体制内での各制度的な差異とか,
国際的な条件とか,ニュアンスが失われるというのが短所であると思う.