ヘビー級のジュリーニとライト級の小澤
★★★★☆
皆さんご指摘の様に、ジュリーニの演奏は遅い。しかし、フォーレのレクイエムを重量級選手の様に遅く演奏するのは、他にチェリビダッケがいます。
残念ながら、ジュリーニ盤はコーラスの録音に失敗したのか、もやもやとしております。これは、エンジニアの技量のせいかもしれません。
一方、小澤の「ペレアス」と「パヴァーヌ」は透明感のある演奏となっており、こちらの方は手放しで頷きたくなる演奏で、正解ですね。
ジュリーニの重たさが裏目に出たため、星1つ減点としました。
名盤がこんなに格安
★★★★★
録音はDDDです。
当時のクラシック新盤発売直後の各雑誌(レコード芸術など)の評価は、最高レベルでした。
もっとも、発売直後は、たいてい評価が高いクラシックCD界ですが、本盤は、時が経ても、評価され続けるべき名演奏だと思います。
ジュリーニの演奏は、どれも、とにかくテンポが遅いですね。
ロマン派の交響曲やオペラなどを主なレパートリーとしますが、どの演奏も、まるで別の曲か?と思ってしまうくらいです。
本盤も同様に、かなり遅めのテンポでの演奏です。
それなのに、合唱をはじめ、ピリピリとした緊張感があり、ジュリーニ自身の息使いまで聴こえます。
それが、清々しい仕上がりになっており、レクイエムのイメージにぴったりです。
それぞれのソリストの歌唱も絶品で、遅めのテンポに合わせて、宗教曲らしい抑揚があります。
フォーレのレクイエムは、モーツァルト、ヴェルディ、ブラームスなどと同列の、レクイエムの傑作です。
その傑作の傑作盤であります。
カップリング曲は小澤征爾指揮のものですが、こちらも名演で、何とお買い得なCDだろうと思います。
買わなければ損?と思うくらいです。
1000円でジュリーニのフォーレのレクイエムを堪能
★★★★★
ジュリーニの演奏は重厚で、レクイエムらしい真摯なものです。テンポは通常より遅く、フォーレの指示に近い速さなのでしょうか。感覚的には相当遅い表記がなされていますので。合唱にはレガート唱法を要求しているので緊張感が持続することもあり、荘厳な感じがより伝わってきます。ジュリーニが残した声楽曲の演奏が常に高い評価を得ているのは、厳粛な雰囲気が全編に漂っているのを受け手がしっかりと認識できるからでしょう。
「神の子羊」でのquia pius es からRequiem aeternamへの個所は入魂の演奏だと思います。宗教曲らしい荘厳さに包まれていました。
父の死を乗り越え、母の死の翌年、フォーレはこのレクイエムを世に残しました。他の作曲家のレクイエムよりも劇的な箇所は多くないのですが、生きている者の側から見た死者の魂を慰める雰囲気はとても強い曲です。
ソプラノ・ソロのキャスリーン・バトルが歌う「ピエ・イエズ」は理想的な可憐さを秘めていました。ビブラートはあるのですが、気になることもなく、透明感を持った歌唱であり清楚に歌われます。彼女の線の細い声質にあっています。
バリトンのアンドレアス・シュミットは丁寧な歌唱ぶりで美声でした。「リベラ・メ」での永遠の死から解放を希求する歌唱から受ける、決然とした表現は評価できます。フィルハーモニア合唱団の圧倒的な量感ある歌唱も合唱好きとしては気にいっています。
「イン・パラディスム」の冒頭の天使の歌声を表現する歌唱も静謐で厳かな演奏からスタートし、包み込むような慈愛に満ちた感覚が伝わってきました。
カップリングの小澤征爾指揮、ボストン交響楽団による「劇音楽 ペレアスとメリザンド」と、「パヴァーヌ」もフォーレらしい敬虔な演奏だったと思います。