主人公は少しスタンダードから外れた家庭で育ち、
個性的であったことで子供の遊びの輪から外されてしまい、
そのことが大人になってもずっと心のどこかに暗い影を落としている。
大人になって画家になることで、
自分の中の影を表現してきた彼女は、
故郷で開かれる展覧会をきっかけに過去へと旅をする。
読んでいて何度もため息が出た。
こういう気持ち、こういうシチュエーション、
自分にも見覚えがあるかも。。。
子供時代というのは単純に見えて、
実はかなり理不尽なことばかりだったりする。
特に女の子の場合はルールが複雑で、
私も主人公のようにルールが理解できなくて苦労した。
社会にでてもルールは存在するけれど、
世界が広がった分、
自分に正直でいることが昔ほど怖いとは思わなくなった。
でも子供の頃の狭い世界ではルールを破ることは、
世界から取り残されるようで一大事だったような気がする。
子供時代のことだけではなく、恋愛や結婚、離婚など、
一人の女性を通していろいろな出来事が詰まっていて、
私にとっては、汁気たっぷりの果実のようにおいしい本だった。
もっと年をとったらまた読んでみたい。