ホメロス用語彙リスト
★★★☆☆
ホメロス原典に手をつけて最初に出くわす困難は、我々読者側の圧倒的な語彙不足であろう。小生の場合など一行読むために何度辞書を引かなくてはならないか。書き込みが多すぎてそのうちテキストが真っ黒となり情けなくなってくる。何か良い方法はないものか。それで本書に飛びついてみる。
届いたのは何のことはない、薄っぺらな語彙集。なるほど動詞・名詞・その他に分けて単語が頻度順に並べられてはいるが、対応する英単語が1ー2附されているのみ。何の説明も、原典のどの箇所でどういう活用形で使われているかも、全く何もない!!のである。
考えてみると語彙集一冊買ったくらいで、ホメロスの語彙が一挙に身につく訳はないのだ。語彙の修得は本文と格闘しつつ、その文脈から理解していって始めてモノになるのだろう。バラバラの単語集を眺めているだけでは、どうしようもないという当たり前の事実につきあたる。
買った以上はくやしいから、本書の頻度順に単語を一つ一つCunliffeのLexiconで読み直してみる。Dry flowerのような単語も、連結する他の単語と並べて文中に置いてやるとイキイキしてくる。やはり作業が必要なのだ。この小冊子の編者がそこまで深い配慮をして、あえてそっけない語彙集にしているとは考えられないが、これが高いか、案外安い買い物になったかは、どうも買った側の活用如何となりそうだ。