ホメロスのギリシア語
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ホメロスのイリアスやオデュッセイアは古来もっとも愛された叙事詩です。その韻律を原文でぜひ味わいたいと思う人も多いはず。ホメロスのギリシア語では、例えば、定冠詞が人称代名詞として用いられているなど、プラトンやギリシア悲劇が書かれたアッティカ方言とはやや異なる部分があるものの、おおむねアッティカ方言の知識で間に合います。しかし、アッティカ方言を経由しないで、直接ホメロスのギリシア語を勉強したい人は本書で学ぶべきでしょう。55章を通じて、少しずつ文法事項を導入しながら読解と作文の力をつけていきます。第13章からイリアス第1巻の原文と取り組むことになります。このときには、特に初心者にとっては、DraperやPulleynなどのイリアス第1巻の注釈付読本を併用した方がよさそうです。巻末には網羅的な文法と語彙集があります。練習問題の解答はついていません。しかし、http://www.greekgeek.org/に訳読の部分だけの解答が公開されています。さらに、TextKit (http://www.textkit.com/)からWrightによる改訂前の本書がダウンロードできます。語彙については、頻度順に整理されたOwen & GoodspeedのHomeric Vocabulariesが便利です。