日本の教師はがんばっている
★★★☆☆
教師に対する風当たりが強くなっている現在。この本を読んで日本の教師の力量がほかの国に比べて優れていることがわかった。私は教員であるが、最近多忙化を感じている。筆者は教員の勤務時間がほかの民間会社に比べて特に長時間ではないといっているが、教員は学校にいるだけが仕事ではなく、マルつけや授業の準備など自宅に持ち帰っての仕事も多い。事務的な仕事の中増大に伴い一番大事な教材研究をする時間がないという悲鳴も聞こえている。しかし、日本の教師は職業に誇りを持ち、自己の向上のために自ら研修を受けているということ、教師同士校内研究などで互いの授業を見合い若い教師を育ててきたという歴史がある。
一方アメリカの教員は日本に比べステータスがあまりなく、給料も安いため転職率が多いとこの本では書いてある。アメリカの教育といえば小人数学級で個別学習、1人1人の児童のことをよく見ているというイメージがある。しかし、OECD/PISAの学力調査ではアメリカは世界28位である。また教師同士が授業を見て高めあうということはあまりなく、研修といえば大学の専門家が指導することが多い。アメリカの教員が研修を受けるのは免許の更新のためで。自分を高めるという内発的動機から出たものではない。
わたしは、こういう面で日本の教員のモーティベーションは非常に高いと思われる。外国から視察で来た教員が日本の授業を見て言うことはたくさんの生徒を一斉授業の形式で実に上手に教えている点であるということ聞いたことがある。日本の教師はまだまだがんばっており、学力低下問題でマスコミなどにたたかれているが、教師の教育力は世界トップレベルだと思う。それを支えていくのが教育委員会であり、現場サポートのサービスを願いたい