現在よく出回っているPolifrafaの画集は印刷が劣悪で中間調が飛んでしまっており、色調も赤みが強すぎロペスの絵の真価を伝えるものではありません。また、Rizzoliの分厚い画集は絶版になって久しく、古本は大変な高値となってます。そこで、このmfaの画集ですが、判型は小さく、ペーパーバック版ですが、色調、諧調とも実物に近く、ロペスの絵の真価を堪能できると思います。また、画家の近況を伝える写真も多く掲載されており嬉しい限りです。現実を美化せず、事物と時間の本質をタブローに封じ込めた独特の表現を多くの方に味わって欲しいです。

現存する20世紀最大のリアリズム作家、アントニオ・ロペス・ガルシア。
日本でも人気のある作家ですが、何故かしら、僅か4度しか作品が渡来していません。
本書は希少な代表作を一覧できる英文の図録です。
表現上、印刷物という壁はありますが大変綺麗な印刷で、真筆を見たくさせる魅力があります。

ちなみに、ペーパーバック版は「Antonio Lopez (ハードカバー)」と比較し図録の多くは重複するところがあります。掲載サイズは若干小さめですが、画質はペーパーバックが良好で、明るいところの詳細がよく見てとれます。

非常に細かく書き込まれた画集ですね。風景をありのまま切り取るなら写真がいいと思うんですが、風景が醸す雰囲気というか、温度を旨く絵の中に封じ込めている画集です。
ただ、もっと掲載されている作品数が多いと、嬉しいんですが、少し少ない気がする点ともっと大きい版で見てみたい、という点で☆一つ割り引きました。展覧会いってみたいですね。

物を見て見尽くすと存在の深さまで到達できる事が可能になるのではないでしょうか。
確かに絵画的な構成もしてますが、キッチリ　セッティグをして描くと
静けさと物が存在している確かさが感じられます。
夥しい作品の置かれたアトリエの中、沢山のデッサンや彫刻作品、数々の油絵の作品
塗り重ねられた絵の具の層、時間の重みが感じられます。
画家はその時代を描けなければ駄目で、抽象であろうが、具象であろうが
関係ないと思います。物がそこにドンと実在しているという事を改めて実感させてくれる
作品集です。ぜひ、一度ご覧ください。

図版が小さいので星一つ減らします。 新作、代表作、アトリエの図版が掲載されていて良かった。 画集入手困難画家なのでこの機会に。