1970年代後期に絶頂を迎えたバンド、スーパートランプ。1990年制作のドキュメンタリー『ザ・ストーリー・ソー・ファー』では、バンドが流れ星のような頂点を極めた様子がタイトにまとめられている。タイトルでは、リチャード・デイヴィスとロジャー・ホッジソン（1984年にソロに転向）の共同作曲コンビの復活がほのめかされているが、結局実現されていない。デイヴィスはバンドを解散せず、2002年には、このDVDリリースに合わせたヨーロッパ・ツアーも行われている。
   このディスクには、1983年にトロントとミュンヘンで行われたライヴ映像（曲は、ほぼすべて『クライム・オブ・ザ・センチュリー』『ブレックファスト・イン・アメリカ』より）を収録。15年間にわたるスーパートランプの人気の上昇と凋落のエピソードでそれを挟んでいる。編集は細切れで、あまりぴりっとしないサウンド・ミックスだが、巨大アリーナを得意としたバンドの素晴らしい魅力は十分伝わってくる。さらに、完璧主義のファンには、ホッジソン脱退後のビデオ5本―特に、ポーランド人のビデオ先駆者、Zbigniew Rybczynski監督による、今日でも印象深い「アイム・ベギン・ユー」が収録されているのも魅力だろう。スーパートランプのファンならチェックすべき作品なのは間違いない。（Jeff Shannon, Amazon.com）