ピクシーズ最初のフル・アルバムは、彼らの全アルバム中もっとも飾り気のない内容で、ザラザラした質感と甲高いヴォーカル、挑みかかるようなドラムスが特徴的。楽曲には徹底してハサミが入れられ、必ずしも必要でないと判断された音は容赦なく切り捨てられた。ヴォーカルのブラック・フランシスは、ラリった一行やユーフラテス川について金切り声で歌いつつ、不可解さと異常性を交互に演出している。当時「ミセス・ジョン・マーフィー」と名乗っていたキム・ディールもハイライトとなる「Gigantic」の盛り上げにひと役買っている。これは子ども時代ののぞき趣味をテーマにした不気味なアンセムだ。演奏は整然としたものではなく、聴きやすくはないが、メロディーの美しさは折り紙つき。ノイズに隠れていたフックが不意に現れ、リスナーにガブリとかみつくのだ。(Douglas Wolk, Amazon.com)