この会社は何のために存在しているのか。自分は部下達とともに、何を目標に仕事をしているのか。上司が確固たる目的も目標も持たず、部下に夢や希望も与えられないようでは、会社も、会社を構成している各部署も力強く歩むことは不可能だ。特に日本がこれまでに経験もしたこともないような経営環境下では、上司がどういう企業観、社会観、人間観を持って仕事に取り組んでいくかは、部下の士気を高めるための重要なファクターである。
本書は立志伝中の経営者、経営の神様ともいわれた松下幸之助の晩年の二十二年間、常にその傍らにあって直接に薫陶を受けてきた著者が、松下の経営のエッセンスともいえる考え方を著者なりに二十項目にまとめ、「部下に信頼される20の要諦」としてまとめ上げた、社長はもちろん、部下を持つ者全員の心得集である。
部下を人間として尊敬し、持てる力を最大限に伸ばす。上司の仕事はまさにそこにあると著者は力説してやまない。