他人事ではないが
★★★☆☆
テーマは実際の事件をもとに、現代社会において他人事では済まされない事を考えさせられる内容となっています。
本書では内容の20%以上が裁判の時系列記録を占めており、若干物足りなさを感じる。
終始著者側のみの主張が繰り広げられてしまい、テーマ的にはもう少し客観性が欲しかったような。
個人的には医療従事の問題点や苦悩、著者の医療(患者)に対する真摯な態度が伝わってきてただ同情するばかり。
「尊厳死」について考えさせられる一冊。
私は“死に方”を選択できるのだろうか?
★★★★★
本書は、「川崎協同病院事件」で医師として殺人罪に問われた著者が、当時の状況や延命治療などについて書いたものです。事件の話が大半を占めるのは当然ですが、事件を通じて“死”をどう迎えるか、どう迎えさせるか、という問題も考察されています。
実際のところ、「延命治療の中止」をどう考えるかは、難しい問題だと思います。例えば、自分自身は中止してもらいたいと思っていても、親や配偶者、子などが、そういった状態になれば、違う考えになるかもしれません。また、当人が望んでいても、家族がいざとなった時、同意するのかどうかは分かりません。著者が書くように、病気も人それぞれである以上、法律やガイドラインが本当に有効であるかどうかは不透明です。
裁かれるのは医療従事者だけかもしれませんが、病気の「終末期」は人を選びません。自分が、家族が、もし「終末期」になったら、どうするかを考えておく必要はあると思います。
ただ、本書を読む限り、現時点で私が「終末期」を迎えたとしても、私は私の“死に方”をは選べないようです。
非常に読みやすいので多くの人に読んでもらいたいです。
全ての医療者が読むべきです
★★★★★
こんな本を書いて、、、、と言われたりするのにも関わらず、殺人罪に問われた医師である著者が裁判のこと、それによって起こった様々な事実を記しています。
新聞には判決が出た、上告を棄却、、、しか出ませんが、その裏に多くの人の苦労、涙があるんだと再認識させられました。
涙が出てきました。裁判に訴えられたら、、、、もう終わりなのかな、、、日本はこんな国でいいんだろうか?と考えさせられました。
疑わしきは罰せず、、、、でなくなっているようです。
殺人か、尊厳死か? まさに看取り医療の倫理を問う生きた教材!
★★★★★
「安楽死」と「尊厳死」の違いってはっきり言える人いますか?
もし、自分が"そのとき”を迎えたら? あるいは母や父が。
新聞やTVなどの日本のジャーナリズムを100%信用していますか?
この本を読んで、看取り医療、尊厳死の問題だけでなく、
日本の司法のあり方、医療訴訟の問題点、生と死への向き合い方など
さまざまなことを勉強させられました。
・週刊朝日(4月13日発売号)、週刊現代(4月13日)の記事も読みました。
一概に、マスコミが報じたからといって「悪者!」ともいえず、
「実はそんなことがあったのか……」なんてことがわかります。
先入観は怖い。人を傷つける危険性を孕んでいる。病院は白い巨塔か……。
うちの両親はちなみに60代なのですが、あと10年〜20年内
にいろいろ親の介護の問題なんかも、実際に考えなくては
ならなくなります。そんな年です。
これを読むと、「なんて家族だろう」とも「医者の自己弁護」だろうとも、
賛否両論あると思いますが、多くの人が読むべきでしょう。
たぶん、答えはそれぞれの価値観によって違います。
あとがきは、読んでいて泣けてきました。
正しい答えはありません
★★★★★
自分だったら、自分の家族だったら、医者だったら、看護婦だったら、親友だったら、ただの知り合いだったら、見ず知らずの人の話だったら、全て出てくる答えが違います。
ただ、時間が進むのと同じで、戻れない変化について何度も経験した、著者である医者が苦しんでいます。
私だったら〜して欲しいわねと言うように、簡単に雑談の種にするような事柄ではありません。
あらかじめ自分の望む最期を決めておいて、周囲を説得してあっても、自分の意思はほとんどきいてもらえないのだろうという感想を持ちました。