口にくわえた筆で花の絵を描く星野富広氏による「花の詩画集」シリーズの4作目。1986年までの作品を集めた『鈴の鳴る道』、1981年~1991年までの作品を収録した『速さのちがう時計』、1990年代の作品を中心にした『あなたの手のひら』に続く本書には、さらに豊かに広がる詩画59点と近況を語るエッセイ24編が収録されている。
作者の星野富広は昭和21年、群馬県生まれ。高崎市立倉賀野中学校に体育教師として赴任したわずか2か月後のクラブ活動中、脊髄を損傷し手足の自由を失ってしまう。失意の底にあった彼を救うのは、聖書と子どものころから慣れ親しんだ自然。そして、彼は口にくわえた筆で花の絵を描き始める。 「葉は花の色を助け、花は葉の色と形をそこなわずに咲いていて、一枝の花とはいえ広大な自然の風景をみる思いだった」という作者が描き続ける花々は優しく、穏やかで、そして強い。
生かされている喜びに、自然や人に対する愛にあふれた詩画やエッセイは、静かに私たちの心を打つものばかり。さらに、シリーズ4冊目となる本書では、作者のユーモアあふれる一面を見ることもできるだろう。「春の縁側」とタイトルがつけられたモモの花に添えられた詩などは、思わず頬がゆるむものだ。
以前より作者のファンだったという方はもちろんのこと、野に咲く花に気づくこともなく、夕焼けの色さえも忘れかけている現代の忙しい大人たちに贈りたい1冊である。(小山由絵)
花の生命力
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星野さんの描く花は、淡く、力強く、繊細です。
すべての花がみずみずしく生きています。
私の好きなカラスノエンドウや露草も描かれていてうれしかったです。
星野さんの前向きに生きようとする心が伝わってくるようです。
詩はちょっとユーモアもあり、病気に負けまいとする強い心も感じられます。
冬があり夏があり 昼と夜があり 晴れた日と雨の日があって
ひとつの花が咲くように 悲しみも苦しみもあって 私が私になってゆく
「惰性に流されがちな、日々の繰り返しの中で、このように変化に富んだ花を描いていると、
毎日が新しい挑戦であり、感動と驚きの連続です。」と星野さんは書いていらっしゃいます。
最新刊
★★★★★
現段階での最新刊だと思います。
やはり星野さんの詩画も、年齢を重ねるごとに変わっています。円熟というか、特に詩に深みがあります。ぱっと読んだだけでは理解できず、何度も読むうちにだんだんと心に染み入っていく詩が多いです。本の題に選ばれている「花よりも小さく」。詩の中にある言葉ですが、これにもきっと深い意味が込められているのだと思います。
とても素敵な本です。お店の素早い対応に…
★★★★★
とても素敵な本です。
お店の素早い対応にも大満足でした。