中韓の【歴史/ショーヴィニズム」を相対化する本
★★★★★
ベッドに入ってから、一気に読了しました。これ又最近公刊された『失われたアイデンティティ』と似た視点を提供してくれますが、岡田英弘氏の日本国家成立論をもう一回り大きくした印象です。一言で言えば、日本という国家の成立には、岡田氏が述べている渡来人としての華僑以外にもシルクロードを東に東に向かった遊牧民が大きく関わっているという仮説を展開しています。シルクロードというと、世界史や日本史の教科書には、彫刻の様式やササン朝ペルシャのガラス細工・陶磁器などが日本に流入したとしか書かれていませんが、文化が入ってきている以上、文化を担った人たちの到来もあったと考える方が遙かに自然です。日本人の起源を探る方法論としては、甲論乙駁状態の、ウィルスや遺伝子のクラスター分析に基づくものもありますが、文化的な起源論としては、実証性に欠ける(資料が無いので、致し方ないところもあるでしょう)ところはありますが、示唆する所、大です。「日本は神の国」という森元首相の発言は、このような諸宗教の実質的な混淆を許容する日本の寛容さを背景にして初めて理解できると思います。