お前たちの中に鬼がいる
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レトロゲームの不条理さをモチーフにしたホラー小説。
須永彰は薄暗い地下室で目を覚ました。部屋の中央に机と椅子があり、彼はそれに腰掛けた状態で気を失っていたのだ。
ここはどこだ、と自問するものの、記憶が曖昧で何もわからない。そこで彼は、机に奇妙な文が書き付けてあることに気がつく。
『お前たちの中に鬼がいる……』
鍵のかかった扉で閉ざされた五つの部屋。その中にいる鎖で繋がれた人物たち。
誰もこの状況を説明できない。が、それぞれが何かを隠しているらしい。疑心暗鬼のなか、彼らはお互いを牽制し、悪意に満ちた嘘を交し合う。信用できる人物は一人もいないのだ。
それは須永彰も同様だった。彼は自分が発見した『お前たちの中に鬼がいる……』という文を、ひそかに消してしまう。
彼は誰にも気づかれぬうちに、この不可解な場の謎を解き明かし、脱出することを決意する。
だが、気がかりがひとつある。自分をふくめた六人の内の、誰かが『鬼』なのではないか、という……。