清貧の書
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昭和前期に活躍した小説家、林芙美子の中篇小説。初出は「改造」[改造社、1931(昭和6)年]。三度目の結婚となる加奈代はそれまでいずれも夫のふるう暴力が根本的な原因となり別れている。今度こそと思うがまたもや失敗したような状況に陥る。日に日に乏しくなり、その日の食べるものにも事欠く毎日が続き結婚生活が破綻寸前の中、夫与一は徴兵される。一時お互いが強制的に離れることになり、初心に戻ったかのように見えるが、その先の希望が見えるまでにはなっていない現実を淡々と描く、自伝的要素の強い作品。1927年頃の生活をモデルとしている。