法医学の専門家だけでなく、法学を学ぶ人、ジャーナリストにも参考となる本
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本書は「1.法医学概論」、「2.死の判定と死因」、「3.死体現象」、「4.死因」、「5.中毒(法中毒)」、「6.性と法医学」、「7.血液型と個人識別」、「8.現代社会と法医学の接点」、「9.医と法」の9章と関連法規で構成され、法医学の現場に携わる人のために出版された本です。しかし、3章、4章以外は法律を学んでいる人にもこの分野の体系的な知識を得るために役にたつ本です。「脳死」、「医療行為」、「医療過誤」などの用語の法律上の正しい使い方を理解する上で、その分野のジャーナリストを目指す人にも必携の本と思います。
3章、4章以外としたのは検屍に関連する、一般の人が見るにはショッキングな写真が多数収録されていることによります。しかし、イメージだけで「死」がとらえられ、「死」が軽んじられる中、(本書の本来の目的ではありませんが、)「死」を現実のものとしてとらえ、「美化の対象ではない」ことを伝える上でこれらの章が役にたつのではと思います。