風の陣【天命篇】 (PHP文芸文庫)
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恵美押勝が討伐されてから一年近くが過ぎた天平神護元年(七
六五)----。淳仁天皇を廃した孝謙上皇が帝位に返り咲き、再び内裏に訪れたか
に見える平穏。その裏には、女帝を誑かし、陰で政治を操る怪僧・弓削道鏡の存
在があった。
異分子を巧妙な罠に嵌め、次々に排除していく道鏡。その毒牙が嶋足の最愛
の婚約者・益女にも迫る! 道鏡の専横に危機感を募らせた嶋足と天鈴は、密か
に「打倒道鏡」を誓い合うのだが......。
彼らの目論見とは裏腹に、道鏡と女帝の蜜月関係は続き、その権勢は揺ぎないも
のになっていく。黄金眠る陸奥に食指を伸ばし、帝位さえ脅かし始める飽くなき
道鏡の欲望、その阻止を図る嶋足、天鈴らの奇計妙策の数々......。
朝廷への憧憬と疑心暗鬼の念に揺れる蝦夷たちは一枚岩となることができるの
か? 暗雲漂う平城の都と陸奥を舞台に、蝦夷の存亡と誇りを懸けた新たなる戦
いの火蓋が切って落とされた。
シリーズ第三弾、待望の文庫化!