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Memoria de mis putas tristes (Vintage Espanol)

価格: ¥1,075
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Vintage
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デルガディーナはいつも眠っている。 ★★★★☆
ガルシア・マルケスの小説はみな面白く読めますが、ひとつには彼が優秀なストーリー・テラーであるためでしょう。
老人の愛を扱ったこの本も結構はらはらどきどきしながら終わりまで読め楽しめます。テーマはいかにも辛気臭いですが、それを感じさせません。
主人公の愛の対象は14歳のデルガディーナですが、会うときはいつも眠っています。
老人は彼女が気に入るように、あるいは自分の趣味を伝えようと部屋の壁に絵をかけたり、クラシック音楽を流したりします。
面白かったのは寝ている彼女にサン・テクジュベリのプチ・プランスや千一夜物語を読んであげる場面です。デルガディーナはそれを眠っていながらも聞いて面白いとそれなりに反応するのです。
舞台はコロンビアのカルタヘナ・デ・インディオスで、大変暑い都市で昔は植民地の中心でした。
この猛暑の夜に素っ裸の14歳の少女が寝ているそばで、おなじく裸の90歳の老人が本を読んであげている場面を想像してみてください。そして話が面白いと、少女は体を震わせたりするのです。
どうです面白そうでしょう。
話の終わりもすっきりハッピーエンドで幸せな気分が残ります。
私はスペイン語で読みましたが、英語の翻訳もあります。
特に老人あるいは老人に近い人にお勧めします。
PUTAS TRISTES ★★★★★
川端康成の「眠れる美女」へのオマージュである。

ガルシア・マルケスは、パリ在住の折、よく日本人作家の作風と似通っている、といわれたようである。しかし、私は彼の作品に日本人の誰のものとも似通ったものを見出すことは出来ない。
しかし、日本文学との共通点に対する指摘や、彼の日本に対する関心や親近感はこの作品を描く事によって表現されたと思う。
彼はおそらく、この作品を描く事により、ピカソが尊敬する多くの有名画家の作品をモチーフとして自分のスタイルで描いたように、ガルシア・マルケスも川端の名作を彼の世界でrevivalさせた。

うらびれた、場末の娼家である。そこで、およそ上流階級とはいえない女将に、処女との一夜を頼む90歳の老人、彼は長年生きてきて、何も持たず、変える場所もなく、生の喜びを感じなかった。そこで、死を感じたときせめて思い出を残そう、と考えるのである。
そこには、老いて尚盛んな性欲のためではなく、自分がまだ生きている事を感じたい老人の切なる思いが伝わってくる。彼女に手を触れず過ごした一夜は彼にとってすべてとなり、彼はそれによって新たに夢を見るようになるのである。

一方川端の世界の江口老人にとって、眠れる処女を見てすごす一夜は一種の遊びであり、彼は若さ以外の全てを持ち、帰る家もあり、その一夜は単なる夢物語であり、幻である。
彼にはもう失うものもなく、この作品に描かれたのは耽美な愛の世界そのものである。

マルケスの老人は悲しい、そして最後に現実をつきつけれる。しかし彼はその後もその思い出を胸に生きていくのである。
まさにPUTAS TRISTES な思い出を心に抱いて・・

若さへの渇望 ★★★★☆
パリ在住の一時期、ガルシアマルケスは日本文学に凝っていて、文豪と呼ばれる日本の作家に作品を読み漁った。その中で彼の心をとらえ、それをモチーフにして書いて見たいと思ったのは川端康成の「眠れる美女」であった。
主人公は90歳の誕生日に自分でのプレゼントとして「処女との一夜」を望む。しかし娼家についた彼を待っていたのは14歳の眠りこけた少女であった。そこで彼は今までにない熱い思いを胸にたぎらせ、彼女に強い恋心を抱くようになる。
川端の作品をモチーフにしているが、この二つはまったく異なり、川端の主人公が優雅な隠居生活を送っているのに対して、こちらの主人公は富も地位もない淋しい孤独な老人であり、娼家も暖かい風が匂ってくるような家屋である。
現実社会を描いてきたガルシアマルケスならではのタッチである。この作品に作者は自らの老いを重ね合わせているのであろうか?