飛べ!
★★★★★
世界的に物議をかもした作品だけにここに個人的なコメントをするのも非常に難しいと言わざるを得ません。しっかりと読むためには勿論英文の読解能力も必要なのでしょうが、それ以前にイスラム教、更には絶対神を信仰するユダヤ教やキリスト教にも相当に通じていなくてはならないように思います。文学的には「ミッドナイトチルドレン」に勝るとも劣らない凄い作品です。壮大なスケールで展開するドラマの主人公が、見た目はいいけれどもわがままでひねまがった性格の持ち主と、声色だけは思い通りの小心者の二人という、普通の(日本)人には全く想いもよらない設定で、それが読み進む度に読者の期待を裏切りながら世界を(あの世とこの世、過去現在、そしてロンドン、ムンバイそして半島のあの丘へと自由自在、いや、目まぐるしく勝手気ままに)駆け巡ります。サルマンラシュディのことが本当に知りたい人は苦労をしても必ず読んで置かなくてはならない作品であることに間違いはありません。
平和好き
★★☆☆☆
この本にイスラム教を信じる人にとっても、イスラムに反対な人にとっても所々面白い部分があるが、novelとしてのスタイルがストレートしすぎる。イスラム教でホリーな名前などを直接使い、歴史的も社会的もモラル的もなんの証拠もないことを事実として世間に売り込もうとしている。この行為があまりよくないだと思う。
この本がおおぜいのイスラム教を信じる人々にキズをつけた。世の中あまり平和が訪れないことの一つの原因としてこのような行為が考えられるのではないだろうか。平和がほうしいなら人にキズをつけない!これはサルでも小学校レベルの教育を受けたら分かるものである。
イスラムに反論する本が物語りではなく、論理的に証拠のもとで反論しても構わないが、この本の内容を論理として一切認めない。読んで”こんな本だったんだ”と思って結構だ。内容がまったく嘘だらけだからである。作者のRushdieが自分の立場をイギリスで強くするためにこの本を書いたと思うが、貧乏なイギリスに逃げたインド人には無理もないことではないだろうか。この本を読もうと思ったら、ぜひまずイスラム教の考え方やその歴史について多少勉強してからにしてください。