医学用語にも強くなれる、家族愛・人間愛小説
★★★★☆
私、MarionはShivaと共に双子の兄弟としてThomas Stone(優秀な外科医)とSister Mary Joseph Praise(修道女看護師)の間にエチオピアで生まれる。出産時にThomasは遁走し、Sister Maryは死亡する。二人は血縁の無い医師の父母に育てられ、当然の事として共に外科医となり大成する。文中処々に医師としてのあるべき姿や外科医としての心構えが述べられており、医師の読者は共感する事も多いと思う。一方、説明文は付けられているものの、病気や手術の記載もままあり、医学の知識の無い方には難解と思われる箇所もある。小説にありがちな偶然の頻発、例えばアメリカでのThomasとMarionの邂逅、Marionと訳あって別れた女性との再会等「出来すぎ」も感じさせる。紆余曲折の末、ややお涙頂戴的なエピソードを重ね、最後には「全て解決」というストーリーになっている。医師には勿論の事、非医師の方にとっても医学辞書を片手に持つ煩わしさを差し引いても、愛する、信じる、思いやる、許すといった人間愛を謳ったこの小説は一読に値すると思う。