朧村正の、番外編。 物語は、鬼助が記憶を無くして、伊賀に行き、雪之丞に会う前の、ほんの一幕に隠れ里に迷い込むところから始まります。

設定がところどころ違うのは、限られた中で話を纏めるため、仕方が無いかと。


鬼助、百姫と陣九朗、と視点が変わりますが、主軸は鬼助です。



百姫は、ややオマケ気味。 むしろコレ、主人公、鬼助だよ。

それでも、原作を壊さない話運びに好感が持てます。 ただ、サブキャラは全く出てこないので、ちょっと寂しいです。

譲葉は時間軸的に無理でも、紺菊は出せたんじゃないかな〜…。 原作で、最初からいたから。


あと、陣九朗百姫の、登場シーンは、戦闘シーンが多いです。

「海が見たい」と言っていたヒロイン、お静は、海が見られたんでしょうか?



追記:サブキャラは全くでないと書きましたが、唯一、雪之丞が出てきます。
が、鬼助と一戦交えて負けたあと、全く出てきません。
負けたあと、空気です。彼。
あのあと、どうしたんでしょうね。

チャンバラアクションゲーム「朧村正」の小説版。
とは言っても、小説用に一部設定を改変している為「原作とはまた違う話」「パラレルワールド」と捉えた方が良い。

濃州鏡見国にて徳川に仇なす気配あり。
その調査の為に訪れた鏡見の国にて、妖刀「指切り村正」に魅入られ抜け忍となった主人公「鬼助」は、
逃避行の最中、とある隠れ里に迷い込む。そこで、彼は「お静」と名乗る女性と出会う――。
物語は、鬼助パートをメインに、百姫＆陣、雪之丞が各々の事情から隠れ里へと集い、事態が１つの筋へと収束していく。

時代劇としての渋さを残しつつもライトな文章でサクサク読み進める事が出来るのは、さすがはベテラン海法氏。
内容も、原作のエッセンスを１冊に上手く凝縮しており、ゲームプレイの是非を問わず楽しめるのが嬉しい。
ただ、原作脇役（狐娘達や虎姫、小夜など）未登場の構成は、隠れ里という閉じた舞台であるとはいえ、賛否が別れるか。
イラストも、頑張ってはいるが、やはりオリジナルの神谷テイストには遠く及ばず。

総合的にみて、完成度の高い１冊だと思うので、和風が好きな人にはおススメです！