どちらかと言えばブルクハルトよりのイタリア・ルネサンス文化論
★★★★★
本書はルネサンス時代をその時代に活躍した人物列伝を下敷きにして主に文化史と科学史に比重を置いて説明した本です。 世界史を少し齧った人でも容易に理解できるよう平易に書かれており、ルネサンス時代を理解するのに重要な新プラトン主義やヘルメス主義の概念説明としては今まで読んだルネサンス物の中で一番わかりやすく書いてました。
筆者はルネサンスを「中世」と「近世」との過渡期と主張してますが本書を読んだ限り、「ルネサンス」と「中世」との断絶を強調するブルクハルトの考えにやや近いルネサンス論だなと思いました。
本書に限らず、本家の岩波新書が中途半端な時事評論書を出してるの対称的に岩波ジュニア新書が従来の教養路線で本書のような本を出してるのはいい事だと思います。