ロスはしばしば「コミック界のノーマン・ロックウェル」と呼ばれるが、この本では、上記の古典的なスーパーヒーローに対する彼の終生変わらぬ情熱だけでなく、ロス自身による作画も見ることができる。本書は読者をスタジオに案内し、興味深い創作過程をこっそり見せてくれる本なのだ。ロスの力強いアートとキッドのキテチック・デザインが一緒になると、『キングダム・カム』や『スーパーマン:ピース・オン・アース』『バットマン:ウォー・オン・クライム』『Uncle Sam』を含むロスの手がけた印象的な画像は、280ページ以上ある本から飛び出してくる。他にも、無数の未公開スケッチや限定版、キャラクターの模型が含まれている。また、ロスの驚くべき表現法から生まれるキャラクターの元祖として、いたるところに古いDCコミックのパネル画が収録されている。
ロスのファンを最も興奮させるのは、この本がDCコミック中心である点だろう。キッドの脚本にロスの作画の、ここでしか見られないスーパーマン&バットマンのオリジナルストーリーや、ポール・ディニ脚本の新作のバットマン&ロビンも含まれているのだ。『Mythology』は、どのページを開いても、ここで称賛されるヒーローたちのパワー爆発の1冊だ。