男と女の悲哀とまで云える恋歌が綴られています。特に"捨てられる運命の女性"があまりにも健気に歌を綴っているのを読むと、今の時代、あまりにも女性を粗末にしすぎているのではないかとさえ思えてしまいます。哀しくも美しく、色々考えさせられる物語歌集です。ワイド版岩波文庫は大きな活字で読書環境をより良くしてくれます。

短い章段から成っているので取り組みやすいであろう。しかし短いからこそ読者の想像力を喚起する余地は大きく、作品全体に果てしない深みを与えている。さまざまに描かれる男女の姿は、現代人にも強く訴えかけてくる。辛い恋をしているような人は、胸を締め付けられるほど切なくなるのではないか。