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Galileo's Daughter: A Historical Memoir of Science, Faith, and Love

価格: ¥1,779
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Penguin Books
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   地動説を支持し、カトリックの教義に反したとして持論放棄の誓いを強要されるという恥辱を受けた後もなお、「それでも地球は回っている」とつぶやいたとされるガリレオ・ガリレイ。彼を、宗教と闘った孤高の科学者と信じている人にとって、本書に描かれている人間くさいガリレオの姿は衝撃であろう。

   実は、ガリレオ自身敬虔なカトリック教徒であり、教会との関係を悪化させずに地動説を支持するジレンマに苦しんでいた。そんなガリレオを、娘である修道女、マリア・チェレステの書簡をもとに、「近代科学の父」としてではなく、ひとりの父親として描いたのが本書である。書簡の写しなどといった貴重な図版も多数掲載されている。

   ガリレオは、確かに先進的な学者ではあったが、メディチ家やローマ教皇といった権力者に迎合し、家族を愛し、キリストを信じたごく普通のイタリア人でもあった。長女のマリア・チェレステは、そんな父の学究的情熱や社会的立場を理解し、日常の雑務を手助けしただけではなく、異端審問という試練のときの精神的な支えともなった。

   ガリレオの偉業を描くことが本書の主題ではないが、やはりクライマックスは、長く禁書扱いを受けていた書籍をめぐる駆け引きにある。ガリレオは、登場人物の口を借りてコペルニクスの地動説を裏づける持論を展開させるが、あくまで仮説という態度を貫き、けっきょくはコペルニクスを否定するというオチまでつけている。しかし、カトリックの威信にかけてガリレオを処罰しようとする勢力から逃れることはできなかった。そんな立場にあってなお、修道女マリア・チェレステは、父の潔白を信じ、励まし続ける。また逆に、修道院の窮乏に耐えかね、ガリレオに金銭や物品の無心をする内容の書簡も残っている。彼女の書簡は、父と娘が物心の両面から支え合って生きてきたことを示す生々しい記録でもある。

   ガリレオは、知人に宛てた最晩年の書簡の中で、「コペルニクスの体系(=地動説)の虚偽性については、いかなることがあろうとも疑問が投げかけられてはなりません。(中略)我々は敢えて神の働きを妨げ、我々が間違っているかもしれないことを執拗に主張すべきではありません。そして(中略)プトレマイオス、アリストテレスおよび彼らの信奉者たちのそれ(=天動説)も同様に、いやそれ以上に、不合理で間違ったものと考えます」と述べている。科学と信仰の間で揺れた人間、ガリレオ・ガリレイ像に迫った力作である。(朝倉真弓)