魔法が使える世界をテーマにしたエピソード。
誰でも体験している普通の日常生活から
ジワリジワリと魔法世界へのフリが仕込まれているのが素晴らしい。

特に今回はドラえもんとのび太そっくりの石像がきっかけになる上に
その謎が割と後半で解けるのが面白い。
魔法が何でもできる便利なものという存在ではなく
現実世界と同様に勉強や努力や才能が必要という設定も見事。

ラストで大魔王を心臓を破壊するシーンと
魔王の絶叫の場面がどうにも迫力不足なのは残念。

今のドラえもんも新しい魅力はあるが、長い歴史の中でもこの時代の大長編は白眉と言える。

ストーリーの圧倒的なワクワク感とスピード感に加え、未知の世界への好奇心に溢れている。

1〜7ぐらいまでの大長編でもう全てを出し切っているのだ。

国民的キャラの宿命故に今現在も続くこのシリーズ、しかしこの時代のドラちゃんにはまだまだ敵わない。

子どものころに読んで、本当にこわかった。いつの間にか引き返せないところに来ているのがこわい。捕まったり、はなればなれになったり、ともかく、見終わってやっと一息つける感じ。今の子どもにも読ませたい本。

大人気の大長編ドラえもんの第五作、「ドラえもん のび太の魔界大冒険」の単行本。
映画のほうは、版権問題で今はビデオでは聞くことのできない、俗に幻の主題歌と呼ばれる「風のマジカル」が主題歌であるなど、曰くつきの一品。

内容についてだが、今回は魔法のある生活に憧れたのび太が「もしもボックス」で魔法の世界を作り出す。

ところが、魔法の世界はのび太の考えていたほど甘くはなかった。
そこで、元の世界に戻そうとするが、元に戻せなくなる。

そんな中、悪魔たちの地球侵略が始まる･･･

緊張感あふれる冒険と、友を守るために自分を犠牲にする友情の深さなどをドラえもんとともに描く感動の一冊。