ブラウンリーは伝統的国際法観に立っており、どちらかというと、人権などの議論は好きでないようです。テキストとは言ってもかなりその点が反映されている気がします。

総論としての国際法理論の点は非常に情報量も多く充実しています。各論としても、国家主権に関連する、海洋法、安全保障法などの部分は記述が細かいです。ただ、やはり人権などの部分は「嫌い」なのか、それほど細かく触れられていません（他のテキストと比べて）。

英語としてですが、他のテキストと比べてやや難解と感じるでしょう。記述が長いためか、留学生でもポイントを抑えるのがやや難しい（というかシンプルでない）と言っていました。

とはいっても、その分、詳細かつ情報量も非常に多く、特に総論の国際法理論や国家に関する点を学ぶには非常に適しているテキストであります。

初心者にとってはやや難しいかもしれませんが、日本語で一通り国際法を学び終えたならば、辞書を片手にでも読むことは出来るでしょう。また、「国際法」を理解するためには「英語」で学ぶ必要があります。

国際法の泰斗であるブラウンリーのテキストであり、長く改訂を重ねている良書です。大学院生ならば一読しておく必要があるでしょう。

この本には日本語訳がありますが、噂通りに誤訳でした。一行目のラテン語のタイトルから間違っていたため、英文の前に読むとしたら、山本草二先生の国際法が良いでしょう。内容というより英語のレベルは、長いところでピリオドが１１行もありませんでした。英字新聞ならば辞書を使いながら読めますが、この本は国際法の用語が頭に入っていなければ、不可能です。内容は、基本的な国際法のことです。文法がとてもきれいでした。これが読めれば英字新聞の社説の内容がよくわかるようになると思います。

日本語で書かれた国際法の本はたくさんありますが、どうせ国際法を勉強しようというのでしたら、是非英語で読んでみてください。

かなり分厚い本ですが、基本事項がきれいにまとまっているので、読みやすいと思います。