大学院に進んでから本書の存在を知りました。今後大学院で英語教育学を学ぶ方はぜひ手に入れておくと良いと思います。大学院のＳＬＡの授業で出されるレポートや論文を作成する際に、本書を少なくとも一度は手にされると思います。内容は基礎的なものではないので、独学で勉強する際の一冊目というわけにはいきませんが、ＳＬＡ各分野の世界的な第一人者たちが執筆者となって、その分野の歴史や基礎的知識にも立ち入りながら論を進めているので、自分が書こうと思っている分野の基礎とかなり新しい知識の両方を学ぶことができます。大学の図書館には必ずあるはずですが、手元においていつでも参照したい本です。巻末のIndexが充実していて、私は辞典代わりにも使っています。第二言語習得のプロセスに関する内容が充実しているので、それに関心がある現場の先生方にもぜひ読んで頂きたい本です。

本書は第二言語習得研究の各分野の第１人者たちによって書かれている必読の書である。よって内容が高度かつ広範な基礎的知識を要するので、入門書ではない、と断言しても問題はないと思われる。ただ、比較的専門化し、著者も異なるため、どこから読んでも問題はないと思う。全体は７つのセクションから構成されており、(1)概論、(2)能力と表象(3)SLAの環境(4)SLAの過程(5)生物的・心理的制約(6)研究法(7)展望となっている。SLAの過去と現在と未来、及びSLAの裾野の広さをうかがうには最適の書だと感じた。