NOVA1【分冊版】Beaver Weaver
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円城塔(『烏有此譚』で第32回野間文芸新人賞受賞)流のスペースオペラか? 壮大にしてリリカルな宇宙(?)SF短編。
SF界屈指の翻訳者/書評家・大森望の責任編集でお届けするオリジナル日本SFアンソロジー『NOVA1』(全11編)の分冊版。「Beaver Weaver」(解説:大森望)に併せて、「序」(大森望)収録。
【作品冒頭】
千年後に目覚めたという夢から覚めて百年後にいる。
こんなことは海狸(ビーバー)の仕業に決まっているので慌てない。
百年前と何も変わらぬ様子の部屋を横切り、冷蔵庫の扉を開けて、内部が円筒形の物体に満たされているのを観察する。ビールの缶と、ビタミンらしきアルファベットの記された缶。ビタミン from A to Z。ビタミンA0からビタミンZωまで。ビールの缶はのっぺら坊に銀色に光り、ビタミンの缶はそれぞれ伊派手に塗られている。多分間違えて呑まないように。
ビールの缶がただの銀色の円柱ならば、何故それがビールだなんてわかるのか。ビールだからに決まっている。伊派手っていうのは何処の言葉か。ここの言葉だ。