副題どおりのペンローズ版完全ガイド!
★★★★★
「皇帝の新しい心」「心の影」等で、すっかりペンローズに入れ込んでしまいました。これまでは日本語で読んでいましたが、本書はさすがに翻訳が出るのを待てず(これまでの実績だと2010年頃?)、原書で読むことにしました。
前半は数学、後半は物理という構成です。数学編では、実数、複素数(、そして四元数も少し)、多様体、集合論などを扱い、後半の物理編のための基礎を築いていきます。どのページを取ってもペンローズならではの、極めて高所から見下ろした含蓄ある記述で、本当に素晴らしいです。後半の物理編は「心の影」の論調を引き継いだ内容で、これまでのペンローズの著作に親しんだ方であれば読みやすい道筋と思います。
これまでの一般向け著作に比べて数式が多く、かなりチャレンジングな内容と思いますが、自身の住んでいる世界を理解したいと思えば、必読ではないでしょうか。どんなに多忙な方でも読み進める価値のある書物と思います。