シェイクスピア英語の文法
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シェイクスピア時代の英語は現代とは異なる部分が多くあります。Abottによる古典的なこの文法書は、シェイクスピアを原文で読もうとする人にとってかけがえのないガイドとなるでしょう。内容は大きく文法(正確には統語論)と韻律に分かれています。文法では、形容詞・副詞・冠詞・接続詞・前置詞・代名詞・関係詞・動詞・分詞の使い方が多数の用例を用いながら説明されます。韻律についても抽象論で終わらず、具体的な用例を示しながら様々な韻律が説明されています。邦訳されているG.L.ブルックの『シェイクスピアの英語』でも統語法の用例は本書に言及することで代替していることからもわかるように、類書に比べて特筆すべきは用例の多さです。出版されたのは1870年と相当に古いのですが、SchmidtのLexiconと同様に、地道で誠実な仕事の成果であると思います。