タイトルとは裏腹に、深い内容。
★★★★★
幼少時から周囲の注目を浴びることに喜びを感じていた夏子。夏子とは祖母同士が姉妹という「遠縁」の徹子は、逆に友人が少なく、勉強一筋で大学在学中に司法試験に合格。この「水と油」のような二人が、老境に至るまで互いを補完するような人生を歩む。徹子の視点で描かれた物語には、夏子の姿は関係者への聞き取りから得た情報のみなのだが、そこから女の欲望と孤独が浮かび上がってくる。誰にでも嫌な点はあり、それを明け透けに出すか、隠そうと努力するか。好きなように生きていいなら、それはそれで幸せなのだろう。人生を考えさせられる1冊。