大学院にて各種レーザー装置を扱っているため、その励起光源として使われる半導体レーザーに興味を持ちました。ご存知のように半導体レーザーは通信、加工等様々な場面で用いられていますが、その仕組みや構造は一般的にはベールに包まれていると思います。しかし本商品を読むことによりレーザーに関して初心者の方でも、発振原理から半導体レーザーの構造や応用例まで理解を深めることができると思います。著者の平田 照二氏はソニー(株)において半導体レーザの研究開発に従事されていた方なのでハード面に関する有益な情報を得ることが出来ると思います。

半導体レーザのセミナーを企業から依頼されて、幾つかのテキストを検討しました結果、本書を採用しました。10回程度のセミナーを考えた場合のボリュームが適量であること、原理から応用まで記述されていること、この種のテキストでは通信用に記述が偏りがちですが、本書は短波長帯など民生用にも記述されていることが特長です。最大の利点は、数式が少ないが（レート方程式などはAppendixとして収録）、たとえばなしなどを通して現象の背後に横たわっている物理を解説している点です。著者が企業の半導体レーザの研究開発に従事して培ったことがよく盛り込まれています。このように、考え方を理解させることで読者が抱えている、または遭遇するであろう問題を解決する能力を養うことができる貴重な著書として推薦します。