インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

泥の家族 (幻冬舎よしもと文庫)

価格: ¥480
カテゴリ: 文庫
ブランド: 幻冬舎
Amazon.co.jpで確認
イタい、痛い。この痛さはどこからくるのだろう。物語は大阪のとある街で暮らしていた5人の家族を中心に展開する、というより過去へとさかのぼっていく。見舞いにきた友だちに醜態をさらす父、セックスにハマって成績が急降下する兄、愛のない初体験をしてしまう姉。そして、そんな家族を「しょうもないな」と思いつつも、流されてしまう弟(=主人公)…。「七割が作り話で三割が実話」と著者の東野幸治は説明するが、「実はその逆なのでは」という感じを受ける。70パーセントのリアリティー。それも、多くの家族に共通する「鍵をかけてしまっておきたい恥ずかしい話」にスポットを当てることで、本書は読者の「痛覚」を刺激することに成功している。

本作が文壇デビューとなる東野の作風だが、性風俗を小道具として巧みに使いこなす点、女性の描き方―― 本書の「姉」と松本人志の「おかん」に共通するあけすけさなど―― に松本の影響を感じるものの、全体としては松本の不条理性とは一線を画す、骨太で日常的な世界観を持っている。テレビで見せる「お笑い」の顔とはまた違う、東野の新境地をのぞくことができる力作である。(磐田鉄五郎)