理屈に走りすぎて共感できない
★★★☆☆
ある人が道徳としてどうなのかを考えないであることをしたら、それは道徳を頭に入れていないので「無道徳」なのだ、といった感じの記述がある。もちろん、法的なこととは別にして。
そして、全篇にわたりこの手の抽象論的な議論が続けられる。
一つ一つの理屈についてはなるほどと思うところが少なくないのだけれど、ある程度読み進むとハタと気づく。
こういう屁理屈っぽい抽象論が、どの程度現実の日常を生きる人々を納得させることができるんだろうかと。
あるいは学校の先生でも子どもを持つお父さんお母さんでもいいけれど、こういう屁理屈を身に着けたからといって、子どもに道徳を教えることができるんだろうかと。
もちろん、この手の本は実用性など関係なくて、知的な思索あそびのためのものだとは思うけれど、それにしても理屈に走りすぎてはいないか。
読み物としてつまらないことはないんだけれど、道徳論として共感するのは難しい。