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村上ラヂオ

価格: ¥1,300
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: マガジンハウス
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   本書は、2000年3月から約1年にわたって雑誌「anan」に連載された50篇のエッセイをまとめたものだ。「パスタ」「レコード」「ロードス島」「コロッケ」「ヴァージニア・ウルフ」「ドーナッツ」そして「猫」と、目次に散りばめられたキーワードを目にするだけで、村上ファンならついニヤリとしてしまうに違いない。もちろん「焼かれたブラジャー」「柿ピー問題」「にんじんさん」「きんぴらミュージック」といった新たな話題も満載で(なぜか「すき焼き」「太巻き」「うなぎ」など和食の話題が多い)、村上エッセイの味わいが凝縮された1冊となっている。

   特に印象深いのは、作家としてデビューした「群像」新人賞の授賞式の思い出「スーツの話」に始まり、チャンドラーの小説中の台詞をひきながら、村上作品の主要テーマでもある「死」について考察した「さよならを言うことは」で締めくくられている点だ。「20世紀に対して、…個人的にうまく別れを告げることができたような気がする」(「さよならを言うことは」)という末尾の言葉は、作家としての円熟期、あるいは転換期を迎えた村上のひとつの節目を画す本であることを示唆している。

   村上春樹といえば安西水丸の挿絵が定番だが、本書は1960年代の「平凡パンチ」の表紙絵以来、第一線で活躍を続けるイラストレーター大橋歩とのコラボレーションとなっている。連載時のものに50点追加されたというモノクロの銅版画101点が、村上の文章のもつ独特の「静謐(せいひつ)さ」に絶妙にマッチしている。(中島正敏)