クラシック音楽界の人間、とくに批評家はおこりっぽいとの評判だが、その訳がこのディスクから分かる。ディスクは「マルタ・アルゲリッチ・デビューリサイタル」と題されている。さて、このタイトルからなにが知られよう？ 全然、なにもない。それに、タイトルそのものが正しくない！ 実際には彼女のデビュー・リサイタルのときよりも多くの曲目が収められており、しかもそのなかでもっとも重要なリストの驚くほどすばらしいピアノソナタ・ロ短調はこのディスクの目玉なのだ。現存する2、3の偉大なピアニストのうちの1人が、広く賞賛を受けてきたリストのソナタのような大作を演奏しようというとき、ふつうならレコード会社はどうにかしてそうした情報をレコードのタイトルに取り入れるはずだと考えるところである。（David Hurwitz, Amazon.com）