本格的な文学を原書で読むのは初めてでおそるおそる読み出しました。案の定地味で「台所」が舞台で物語は始まります。ところがです。確かに地味なストーリーが登場人物といろいろな出来事の絡み合いの中でそのおもしろさが大きなうねりとなって押し寄せてきたのです。タイトルが暗示するように農民が主人公で話はすすんでいきます。自分でも驚くくらい早く読み終えてしまいました。そして当時出ていた続編、続々編もすぐに買いあっという間に読んでしまいました。また完結編がちょうどペーパーバックになるという時期でこれも発売後直ちに購入してむさぼるように読みました。
「地味なのになんでそんなにおもしろいのかね?」と思われる方はだまされたと思ってぜひ読んでみてください。ことばでは「大地」にねざすようなスケールの大きなおもしろさを言い尽くせません。サスペンス小説顔負けとだけ述べさせてください。英語もそれほど難解ではなく英検で言えば2級の上から準1級くらいから十分読みこなせます。むずかしい単語熟語、構文等にこだわらずストーリーを追っていくだけでたっぷり楽しめますし、英語の速読力もつくし、おまけに「英文学を英語で読みました」と胸をはれると言うことで”一石三鳥”です。
先日新聞か何かで残念な記事を目にしました。「パールバックが今ブームになっている」というものです。ということは裏返せば「いままであまりかえりみられてなかった?」そう言えば各社の文庫の目録を見ても”文学”的なものがたくさん絶版にされています。これも時の流れでしかただないのでしょうか。
私はおかげさまでこの「大地」が励みとなり以後ずいぶんといろいろな洋書を読むようになり、私にとっては「洋書」のpilot的な記念すべき書となりました。原書はまだちょっと・・と遠慮している方にも格好の入門書です。