江戸川乱歩賞受賞作として期待して読み始めた。
★☆☆☆☆
陳舜臣という人は、さまざまな文学賞を獲得して、現在は大家として扱われている。芸術院会員だそうだ。
しかし、彼の文章は、お粗末。
『枯草の根』は、中華料理店主の陶展文が謎解きをするが、ストーリーの展開が単純過ぎる。作者による工夫のあとが見当たらない駄作である。
意味不明の中国語や漢文もいろいろ出てくる。日本人の読者にとって、効果的な読解材料の配置とは、到底思えないのだ。作者の自己満足に終わっている。
唯一のトリックが元銀行経営の李源良がニセモノであったことだ。この事実を隠すため、本物を知る人たちを殺すという筋立てにも、私は、感心できない。
私は、江戸川乱歩賞受賞作をいろいろ読んでいる途中である。本作品は、受賞作の中では、最低クラスのものであろうと思われる。