酒田五法は事実か迷信か?
27年間3862銘柄1483万5838取引のデータから株価の「特性」が明らかに!
定説のウソを解き明かす!
百聞は一見にしかず
値動きの傾向(バイアス)を統計分析で明確に!
いつの世も、相場の主体は「人間」である。人間の買い意欲が売り意欲を上回れ ば、相場は上昇し、下回れば、相場は下落する。
そして、いつの世も、人間の感情は本質的に変わらない。株価が暴騰すると、歓 喜して買いたがり、暴落すると、恐怖から売りたがる。
ローソク足は、その色や形から、そうした買い方と売り方の「攻防」と「心理状 態」を一目で判別できる優れたチャート描法である。また、その特性から、古 来、ローソク足の形状や複数本の組み合わせを売買サインとする「パターン」が 生み出されてきた。例えば、江戸時代に本間宗久によって開発されたという「酒 田五法」が、その代表だ。
多くのローソク足紹介書で、こうした伝統的パターンが「通説」として紹介され ている。このパターン出現を頼りに売買のタイミングを決めている投資家も少な くない。
しかし、こうした「通説」は、実際に信頼に値するものであろうか。そのパター ンを心から信頼してトレードを継続できるだろうか。
本書は、日本株27年間3862銘柄1483万5838取引のデータからローソク足パターン の「現実」を分析したものである。「三川明けの明星」「十字星」「はらみ線」 「三空叩き込み」など、35種類のパターンを「全期間」だけでなく「6つの期 間」で解析し、そこにみられる「傾向(バイアス)」を考察した。
期間を6つに分類したのは、株価には上昇基調のときもあれば、もみ合いのと き、下落基調のときもあるからだ。こうした相場局面にかかわらず「傾向」に変 わりがなければ、ある程度の持続性、つまり「人間の本能的な相場行動パター ン」が見えてくる。
今回の統計分析から、通説が事実にそぐわないケースと、事実どおりのケースが あることが明らかになった。
本書で提示したような膨大なデータから値動きの「傾向」を探し出す作業は、短 期売買、デイトレード、スイングトレードの研究に役立つだろう。システムト レードでも、こうした優位性(エッジ)を最大限に発揮するための「売買戦術の 着想」に役立つはずだ。