ここ10年ほどに発展してきたDiscrete Choiceの手法を非常に分かりやすく説明する良書です。Discrete choiceのテキストといえばMaddala(1983)を推す人が多いようですが、本書の優れている点は上述した最近この分野の成果(Mixed logitなど)を網羅し、それらを実際に使用する上で必要になってくるSimulationの方法を紹介しているところです。この本を一読した上で関連する論文にあたってみると格段に理解が進むと思われます。
ただ、Maddalaに比べ、数学的に厳密な議論はなされていない、出てくる例がI.Oに関するものばかり、という欠点はあると思います。
しかし、それらの欠点を加味しても、難解で理解に時間がかかるであろうDiscrete choiceの最新の手法をコンパクトにクリアーに、そして具体的に解説しており、まさに「痒いところに手が届く」一冊です。