ロサンゼルスのメタル・シーンをインキュバスと共に育ててきたシステム・オブ・ア・ダウンにも言えることだが、若々しさ・怒り・大音量を売りにすると、それだけでニュー・メタルに分類されてしまう。インキュバスにはそれが不満だ。もっともな話である。彼らのサウンドは、リンプ・ビズキットの猿真似ラップよりも、フェイス・ノー・モアやレッド・ホット・チリ・ペッパーズの巧妙で独創的なファンク・メタルに近い。実際、「Nice to Know You」や「Circles」、それに見事な「Blood on the Ground」は、確かな成熟ぶりを示している。しかし、今回のインキュバスの見るべき点はそれだけではない。「I Wish You Were Here」、「Just a Phase」、「11 a.m.」、「Mexico」では、インキュバスらしかぬソフト路線が取られている。アコースティック・ギターと小規模なストリングスを使うことによって、ノイズは減少、インパクトは増大という効果を上げているのだ。
インキュバスは原点を見失ってしまったのかという声も出てくるだろうが、要するに大人の音楽をやるようになったということである。『Morning View』は、1作ごとに進歩し続けるバンドが大きな跳躍を果たしたアルバムだ。(Robert Burrow, Amazon.com)