また、7章以降はベンチャー企業経営論というタイトルからしてなぜ必要なのか?という印象も受けた。確かに企業家の育成・インキュベーション・会社設立と企業の実践の各章の水準は高かったがそれぞれこのタイトルの本に納められるべきものでは内容に思う。
正直教科書としては専門的過ぎ、論文集としてはテーマが広すぎるという印象を受けた。
9章から構成されているが、執筆者はばらばらで、統一感はない。各章でベンチャー企業の定義が異なるのはお粗末としか言いようがない。
また、執筆者は、ほぼ全員が大学関係者であり、内容も研究者的である。つまり、調査結果や、他の研究者の研究・論文の紹介が多く、「ベンチャー経営者がどのように経営すべきか」という視点ではなく、「ベンチャー経営者はこのように経営してきた」という「過去振り返り型」と言えよう。
したがって、ベンチャー企業の経営者や、ベンチャー企業とビジネスで関わる人が実務上のノウハウ等を得ようとする場合には、残念ながら、あまり役立たないと思われる。また、専門的に研究しようとする人にも内容が薄すぎるであろう。大学等でベンチャー企業について概観を知ろうとする人の入門書としてしか役立たないと思われる。
国の各種支援政策については、ほとんど触れられていません。ビジネスプランの書き方も、直接は書かれていません。
理論的な話が中心で、いわゆるHOW-TOモノではありません。「ベンチャー企業論」を勉強するための本でしょう、やはり。
「実践的」であると思えなかったのは、自分が、起業家でないからかなぁ?
各章で執筆者が異なるためか、個人的には、読みやすく、わかりやすい章と、そうでもない章がある印象です。!また、本の分量と、幅広さのためか、そう一つの話題に突っ込んで論じているわけでは、ないです。
参考文献が、非常に充実してますし、「ベンチャー企業論」の守備範囲を知るには、良い本であると思います。