第一級の資料
★★★★☆
これまでの2Pacの分析は、
DVDなどの映像によってなされてきた。
『レザレクション』などは、
彼の人生を主観的に捉え、解説している点で
貴重な資料であったが、本書は、
それよりも客観的な視点で分析をしている点で
貴重である。
Big SykeやJohnny Jといった
彼の音楽活動において
最も重要と思われる人物の詳細なコメントは
2Pacの並外れた創造性を裏付けるのに
効果的である。
「スタジオでの本当の2Pacとは?」
という疑問点、視点から2Pacを捉えるという
試みは、見事にやり遂げられ、
没後10年目にスキャンダラスな一面以上に
アーティストとしての評価が
また高まることを期待させてくれる。
出所後の驚異的な創作活動は、
単に死に急いでると捉えられがちだったが、
それは彼のとどまる所を知らない
創造性がなせる業であるということを
改めて教えてくれる。
その瞬間を共にしたJohnny Jは
この上ない幸せ者だと思うし、
そこから生まれた作品たちを
いまも聴くことができるリスナーもまた
幸運であると思う。