R/S-Plusでmixed effect モデルをやるなら手元に置いておきたい
★★★☆☆
S/S-Plus/R ユーザーのためのmixed effect model (混合効果モデル)の解説書である。
本書は、サンプルコードと出力の解説、
およびモデルや推定方法についての理論的説明からなっている。
この使用目的に限ると他に良書が見当たらないので、
分析の際に手元に置いておくと便利な本である。
一方で、言葉による説明が豊富な分、叙述が冗長なため
(英語を読むのが遅い私には)一覧性に劣るのが欠点である。
もう少し簡潔にモデルとプログラミングコードの対応がまとめてあれば、
より使いやすい本になったのではないかと思う。
応用を目的に書かれた本であるため、
基本的な線形回帰モデルに親しんだ人であれば誰にでも読める。
なお、mixed effect modelとは、
基本的なの回帰分析における説明変数(fixed effects) に加えて、
被説明変数に影響を与えているもののその効果の大きさが
興味の対象外であるような変数(random effects)を
乱数とみなして組み込んだモデルのことである。
例えば、動物実験データで各個体が複数の観測値を持つ場合に、
個体に由来する被説明変数の水準の違いは
random effectとして表すことが出来る。