こういう主張を、専門外の多くの読者に伝えるという意味では、
この訳は充分な役割を果たしています。
だが、点数がこの程度に留まっているのは、訳が余りに酷すぎるためである。体裁が論文形式に準拠しているにも関わらず、文体が砕けすぎている。急いで翻訳した影響か、助詞の選択ミスや誤字脱字も非常に多い。(恐らく編集者の責任だろうが、プロの仕事とは思えない)原文を引き写しただけの注と比較すれば、本文の酷さは一目で分かる。
しかも、出版形態の選択を誤っている。無駄に豪華なハードカバー、そのくせ文字は大きく行間はスカスカ。必然性が感じられない判型である。そもそも、原文がWEBで無料公開され、広く読んで貰いたいと作者が望んでいたことをどう思っているのか?せめて、文庫か新書、高くても1500円以内に抑えなくては意味がない。これは、日本においては「保存専用」の商品ではありえないのだから。
まとめると、商品としては値段に見合っていない。読むこと自体は強く勧めたいのだが、読み終わった後転売して資金を回収するか、レンタルで済ませなければ損をする。