エンゲルスの独自の役割に光を当てた、研究著作
★★★★☆
エンゲルス没後100年の年にスタートした連載を(1995年・雑誌『経済』)、資本論公刊130年の年に上下2冊の大著として出版(1997年・新日本出版)したもの。
研究にあたって、新しい『マルクス・エンゲルス全集』(新『メガ』)に収録された『資本論』の諸草稿、「ロンドン・ノート」ほかの経済学ノートなど、最新の研究資料が広範囲に検討されており、登場人物300人以上、紹介されている書簡だけでも300通以上と、たいへんスケールの大きい『資本論』研究である。
上巻は、第1部と第2部の研究であるが、「反デューリング論」や「家族・私有財産および・・・」とのかかわりにも触れられているので、エンゲルスの著作になじんだ“初学の古典読み”には興味深い。