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YS-11走る! ~たった一人で世界と闘う技術者魂

価格: ¥0
カテゴリ: Kindle版
ブランド: See-Saw Books
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<内容紹介>
戦後初の国産旅客機「YS-11」の開発にたずさわった一人のエンジニアが活躍の舞台を、自動車、自転車と変えながら、ついに世界一の超軽量自転車を世に送り出すまでを追った物語。「YS‐11の名を後世に残したい」―その想いだけで一人だけのメーカーを立ち上げ、夢を追い続けるエンジニアの姿に、多くの読者は自分の夢と人生を重ね合わせることだろう。学生、ビジネスマン、技術者、経営者をはじめ、就職・転職を考える人にもぜひ読んでほしい。

<本文抜粋>
・・・・・1人だけのプロジェクトの進め方
 ところで、私はこういうプロジェクトを次から次にこなしているわけだが、「いったいどうやったらこんなに膨大な仕事量をこなしていけるのか」という質問を受けることがある。そのたびに私は「まあ、なんとかなるものですよ」とか口を濁してきたわけだが、あらためて振り返ってみると、そこには私なりのコツや要領めいたものが機能しているようだ。
 そのいくつかを挙げてみる。
①ややこしくなったら問題を寝かせる
 頭の中だけで考えていると、行き詰まって堂々巡りになることがある。そんなときはそこの時点で思考停止にする。問題を寝かせておく。1週間かそこら寝かせておくと、意外なところで答えがフッと出てくることがある。前にもふれたが人間の脳の不思議さである。
②今日はもう止めた! と放り出す
 前のことと同じなのだが、寝かせ方のテクニックだ。行き詰まったら大きな声で「今日はもう止めた! またやろう」と叫んで問題を封印してしまう。この言葉が脳にこびりついて絶えずプレッシャーをかけるのだろうか。いつか頭をもたげて解決への道を辿るのである
③教科書に戻る
 電動アシストの開発では、たびたび大学時代の教科書を取り出して読んだ。あんまり勉強しなかったくせに30年、40年前に教科書で学んだ「材料力学」とか「構造力学」の記憶が>甦ってきて、わかりやすく頭に入ってくる。そして現在取り組んでいる開発の手助けをしてくれる。ベアリングでは「公差」をこの範囲に抑えないといけないと学んだことが頭の中に浮かんでくる。「記憶」は消えているのではなく、甦りのときを待っていたわけで、なんだか不思議な感じがした。
 これはきっといわゆる「記憶力」とは別な能力なのだと思う。当時は解けなかった問題が今なら解ける。教科書を開くのは、いわば「検索」で、それをきっかけにしていろいろな知識や知恵がそれに繋がってくるのだろう。技術関係の仕事をしている人間には、こういう教科書をひもとくような時間、環境が必要なのかもしれない。
 学生諸君には、就職しても、ぜひ教科書は大事にとっておくことをすすめたい。
④記憶に頼らない
 前の項とは逆説的だが、開発という作業に記憶力は必要ない。むしろ記憶は邪魔だと思う。記憶にこだわれば自分で発想の枠を作ってしまう。記憶が発想の邪魔をして、脳の奥深いところから知恵を引っ張り出すことができなくなる。経験が新鮮な発想の足を引っ張るというのと同様のことかもしれない。

<目次>

プロローグ

第1章 YS―11とトヨタと自転車と

技術者人生前史
部品交換時間を5割アップ
会社の解散、そしてトヨタへ
東富士研究所からスタート
ブレーキ開発は「宝の山」
トヨタの技術戦略の凄さ
クルマに搭載する自転車を作れ!
異例の予算200万円がついた
明日からはトヨタの名刺がない
独立!だが妻は猛反対

第2章 超軽量自転車への挑戦

バイク技術研究所、誕生!
Skype仲間
要求される条件を頭に入れて熟成を待つ
走行安定性
タイヤ径
ホイールベース
徹底的な軽量化に挑む
YS―11マニュアル(上下巻)からの発想
YSの思想を受け継ぐ
自転車に「YS―11」の名を冠す

第3章 182という数字

東京国際自転車展に出品
『R―25』からの取材が入る
台湾企業と提携、電動アシスト開発へ
世界初の自転車用ABSの開発に挑む
1人だけのプロジェクトの進め方
すべての原点は空を飛ぶYS―11だった
北海道の原野で学んだ少年時代
興味は飛行機に広がる
YS―11が残したもの

第4章 「自宅から世界へ」という発想

社員1人、6畳の自転車メーカー
本社オフィスの全貌
IT化のコスト
「出るを抑える」小さい会社の経営
技術者には3つのタイプがある
台湾企業との出会い
-いたずらに生産台数を増やさない
未体験ゾーンの門口に立つ

第5章 団塊世代の独立・起業論

初めての創業の苦い味
2番手「事業」が支える
「世の中にない」から自分でやるしかない
台湾人との付き合い方
ネットの発展で日本は危機的状況
「縁」があり、「運」がある

あとがき